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マスターズワールド 2010


報告: 西野 隆文

イギリス遠征の報告です。

ヘイリング島(Hayling Island)
イギリス南岸、ポーツマスの東にある、砂が堆積してできたような平坦な島。ロンドンのビクトリア駅から列車で1時間半、ハーバントという駅まで行くと、そこからバスが出ている。イギリス本土とは橋でつながっている。それほど大きな島ではなく、わたしが泊まった島の北端近くのB&Bから島の東南端にある会場のヨットクラブまでは自転車で30分ほど。

マスターズワールド
本番は9月13日~19日、会場になったのはヘイリング・アイランド・セーリングクラブ(HISC)。大きなクラブで、2階建ての立派なクラブハウスを持つ。
レース海面のヘイリング島沖はソレント(The Solent: イギリス南岸とワイト島に挟まれた海域のこと。潮の干満の差が大きく、流れも速い) の東のはずれにあたる。ワイト島との間の狭い海峡からは離れているので潮の強さはそれほどでもなかったが、それでも不規則な波が立ち、風が強くても弱くても難しいコンディションになった。
風については、大会1日目はドン吹き。リタイヤ艇もかなり。2日目、3日目は強風のためレース中止。レイデイと入れ替え。マスターズワールドでは30ノット吹くとレースをやらない。日本チームはM吉さんの車で観光へ。4日目、5日目は中風、6日目は振れまわった後、中風。7日目は強風。潮による見かけの風の変化も加わっているのか、安定して吹いているときでも風向はよく変わる。風の情報はWeb掲示板で豊富に提供された。

RYAトレーニングコース
日本ではほとんど見かけない、クルーザーのヨット教室。せっかくイギリスに行くのだから、と申し込み、マスターズワールドが終わった後、これに参加。
先生1人と生徒4人(わたしを含めて)で30数フィートの船に乗り込み、5日間、船で寝食を共にしながら講習を受ける。内容はナビゲーションが中心。先生が一人一人に課題を出し、生徒が順番にこなす。課題をやる人がスキッパーになり、その間、他の人はクルーをやる。GPSは使わず、夜でもチャートとコンパスだけで位置を出す。他に出艇/着艇、落水救助の練習など。受講料は食事(船のギャレーで自炊)、宿泊(寝袋で船中泊)込みで440ポンド、約6万円。ロンドンのホテルに5泊するより安い。ディンギーのコースもある。

iPhone
イギリスに出発するひと月ほど前に、それまで使っていた携帯電話が故障。いろいろ考えた末、機種変更でiPhoneにすることに。出発の数日前にモノが届き、使い方に慣れる間もなく現地へ。
ところがこれが正解で、iPhoneに付属の地図ソフト(グーグル・マップ)+内蔵GPS+電子コンパス+ソフトバンクの海外1日パケットし放題、という組み合わせの威力は絶大、ロンドンの街を歩き回るのにたいへん重宝した。自分がいる場所はもちろん、歩いている方向がわかるのはすばらしい。ただし電波状態はあまり良くなく、ビルが密集するロンドンの中心部では地図の更新がとぎれとぎれになった。

スカイプ
PCにインストールして使う電話ソフト。今回用意していったなかで、もう一つ正解だったのがこれ。スカイプ・アウトという仕組みでイギリスから日本の固定電話にかけた場合の料金は、1分10円くらいの感覚。携帯電話にかけた場合はこれより高いが、それでも前回までとくらべると電話代は激減。インターネットを経由することによる音声の遅延もほとんどない。インターネットがつながるところでしか使えないが、あらかじめ宿泊先にWiFi (無線LAN)があるかどうか調べておけばOK。


ILCAサイト
成績表



ヘイリング・アイランド・セーリングクラブ ヘイリング・アイランド・セーリングクラブ
ヘイリング・アイランド・セーリングクラブ(HISC)
今回の会場。正面に見えるのはクラブハウス。内部には、ヨットクラブでここまでするか、と思えるほどの本格的なバーを備える。入口(下の写真)からクラブハウスまで500mくらいある。両側は持ち込み艇のレーザー。 [画像クリックで拡大]

クラブハウスの2階から見るディンギーヤード。こちらはチャーター艇置き場。
ヨットクラブ前の水路(写真の左上)を右奥(南)に出て、さらに右(西)に回り込んだところがレース海面。この水路は、潮の満ち引きのたびにチチェスター湾の水が一斉に出入りするため非常に流れが速い(広い水路のように見えるがほとんどが浅瀬で、潮の通り道となる深さのあるところはごく狭い)。風が弱いと潮にうち勝てず、出艇できなくなる。 [画像クリックで拡大]
HISC 湿地帯

クラブ入口。レーザーワールドの看板が。 [画像クリックで拡大]
湿地帯
会場のHISC(右奥がクラブハウス)と隣のスパークスマリーナとの間の湿地帯(marsh)。このあたりでは、このような湿地帯がいたるところにある。 [画像クリックで拡大]
レース海面 ソレント
レース海面
レースを終えてハーバーに向かうスタンダードフリート。ヘイリング島の南岸から南東方面を望む。ラジアルのレースが早く終わったときのもの。 [画像クリックで拡大]
ソレント東部
ヘイリング島の南岸から西側を望む。
右端の白い塔はポーツマスにあるスピネーカー・タワー。ソレントのどこからでも見えるランドマーク。左奥に見える陸地はワイト島。 [画像クリックで拡大]
潮流 ソレント航路標識
潮流
大会のパンフレットに付いていた、レース海面付近の潮流の情報。HW は high water (満潮)の略。標準港であるポーツマス港の満潮から何時間前/何時間後±30分の範囲における潮流を示す。方位のほかに2つある数字のうち小さいほうは小潮のときの、大きいほうは大潮のときの平均流速。 [画像クリックで拡大]
ソレント中央部
上がサザンプトン、下がワイト島のカウズ。RYAのトレーニングコースは主にこのあたりでおこなう。潮が速く、浅瀬も多いのに加え、大きな港があって本船が頻繁に往来するので航行制限もある。航路標識(IALA buoyage)がいたるところにあり(実際はこの図よりもっと多い)、まるで教習所のような海域。側面標識(lateral marks)の赤/緑は日本と逆。 [画像クリックで拡大]
ハンブル ウェイマス
ハンブル(Hamble)
ヘイリング島とサザンプトンの間に位置する、イギリス南部最大のヨットのメッカ。ハンブル川河口付近に5~6カ所、大規模なヨットハーバーが集中する。写真はそのうちのひとつ、10年ほど前のイギリス駐在時代に一時期通っていたマリーナ。どこも当時よりきれいになっている。 [画像クリックで拡大]
ウェイマス(Weymouth)
イギリス南岸に点在するビーチリゾートのひとつ。ビーチに面して建ち並ぶホテルは9月下旬でも週末は満杯。右奥のフェリーが泊まっている岬の向こうが2012年オリンピックのセーリング競技開催地。 [画像クリックで拡大]
ライ クィーンズ劇場
ライ(Rye)
帰国前日に立ち寄った古い田舎町。海から遠いのにハーバーがある不思議なところ。お気に入りの場所で、訪れるのは2回目。都会の喧噪から逃れたい向きには、隣のウィンチェルシー(Winchelsea)とセットで。 [画像クリックで拡大]
レ・ミゼラブル
ビクトル・ユゴーの小説をもとにしたミュージカル。場所はロンドンのクィーンズ劇場。イギリスに到着して次の日、ヘイリング島に行く前に鑑賞。もう25年間も上演しているのに客席は満員。こころ洗われる作品で、名曲も多い。出演者らの気合の入り方、力量には圧倒される。劇の中から一曲。 [画像クリックで拡大]




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