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沖縄-東海レース


報告: 西野 隆文

このゴールデンウィークに、沖縄-東海レースに参加しました。船はJ/V(ユーデル・フローリック)の40ft  <ヒナタマル>号。昨年のパールレースに続き、芦屋フリート徳島支部のS川さんの紹介で乗せてもらうことになりました。

コースは、沖縄の宜野湾マリーナから愛知県のラグーナ蒲郡までの720マイル、約1,300 km。わたしにとってもこれだけの長距離外洋レースは、10年前の沖縄~西宮レース(650マイル)以来で、20年ほど前に出たジャパン~グァムレース(1,300マイル)に次ぐ長さです。


4月28日 レース前日。朝から安全講習会。イーパブ(EPIRB: 遭難したときに位置情報を衛星経由で送る装置)、火薬類(発煙筒や信号弾)の使い方、ラフト(救命いかだ)の使い方、人工蘇生法など。海上保安庁の人も講師で来ていて、かなりためになった。海体にはAEDが置いてあるはずですが、AEDの使い方もバッチリ習ったので必要なときは呼んでください。夜、前夜祭。

4月29日 スタート当日。沖縄に来てから天気が思わしくないうえ、この日は朝から北東の風30ノットの予報。荒れ模様を覚悟したが、スタート時の風速は15ノットくらい。その風もだんだん落ちる傾向にあった。
12:00に宜野湾マリーナの沖をスタートして沖縄本島の西を北上。

4月30日 未明に沖縄本島と与論島の間を抜け、東へ出る。そこからは潮岬まで直線上に障害物なし。風が弱まり、穏やかなコンディションとなる。昼ごろ、沖永良部島の沖を通過。天気が回復。その後、徳之島の東で風が不安定になり、なかなか進まなくなる。

5月1日 未明に北から風が吹き出す。喜界(きかい)の東を通過。これ以降4日間ほどは 360° 見渡す限り水平線、陸地が見えない状態になる。 快晴。風は弱い。夜、西風。悪石(あくせき)の東で黒潮の端にさしかかる。

5月2日 西風。軽風、一時無風。そでれも種子島の東で3~4ノットの黒潮に乗る。

5月3日 鹿児島の東、足摺岬の南あたりに来る。風は安定せず。朝、イルカのショーあり。夕方から南の風が吹き出す。

5月4日 南寄りの風で朝に室戸岬の南まで来る。黒潮の本流に乗り、3ノットの連れ潮が続く。夜には潮岬の南まで到達。

5月5日 西~南西の風で熊野灘を北東へ。昨夜から一気に距離をかせいだ。夜中に伊良湖(いらこ)水道を抜け、三河湾に入る。

5月6日 午前5時前、ラグーナの入口でフィニッシュ。所要時間 6日と16 時間。フィニッシュ直後、レース本部の人たちがラグーナの突堤で花火を上げてくれた。


今回、久しぶりのオーシャン・ゴーイングということで、強風とうねりのサバイバルコンディションを予想していましたが、さにあらず、吹いたのはスタート直後とフィニッシュ前だけ、あとは穏やかな行楽日和で雨は一滴も降らず、終始軽風に悩まされることになりました。

外洋レースについてしばしば訊かれることとして、いつ寝るのか、ということがあります。当然、交代で寝ます。今回の乗員は 9 名、3人ずつ3 班に分かれ、6 時間ワッチ、3 時間休み、すなわち2 班がデッキ上にいて操船し、1 班がキャビンで休む、というサイクルでした。今回はコンディションが穏やかだったのでワッチオフのときも十分休め、ほとんど疲れは溜まりませんでした。

また、このようなロングレースでは、夜も走ります。夜に走っておもしろいのか、と思われるかもしれませんが、普段の生活には昼もあれば夜もある、なのでヨットレースにおいても昼もあれば夜もある、それだけのことです。とはいうものの、実際に星空の下を走ってみると昼間のセーリングでは味わえない風情があります。

さて、昨年のアリランレースでは日本と韓国の近さを実感しましたが、この沖縄-東海レースでつよく感じたことは、日本は広い、ということです。日本は長い、とも言えます。今回は沖縄までの南下でしたが、日本列島は沖縄からさらに250マイル続きます。陸地だけに注目すると日本は狭い、となるのでしょうが、海洋部分を含めると日本は東アジアのかなりの部分を占めていることになります。こんなことを実感できるのも外洋レースならではといえます。


大会サイト
航跡図



桜島 屋久島
桜島
見づらいが、中央の三角が桜島。往きの回航にて大隅半島の沖からの眺め。[画像クリックで拡大]
屋久島
往きの回航にて。天候がすぐれず、頂上は見えなかった。[画像クリックで拡大]
奄美大島、徳之島 徳之島
奄美大島徳之島
中央奥が奄美大島、右が徳之島。往きの回航にて、南西から見た景色。[画像クリックで拡大]
徳之島
島の西側からの眺め。手前は空港。往きの回航にて。[画像クリックで拡大]
伊江島 残波岬
伊江(いえ)
もうここは沖縄。明け方、湿気の多い、もわっとした空気で一瞬南国を感じさせる。島の東側からの眺め。往きの回航にて。[画像クリックで拡大]
残波(ざんぱ)
正面が南でこれを右から回り込めば宜野湾。[画像クリックで拡大]
宜野湾マリーナ 宜野湾マリーナ
宜野湾マリーナ
かなり広い。収容艇も多く、立派な堂々としたマリーナ。常駐する業者もたいへん親切。ただし行った時は雨が降って寒く、南国ムードなし。[画像クリックで拡大]
宜野湾マリーナ
ときおり普天間に離着陸する訓練機が。[画像クリックで拡大]
安全講習会 普天間飛行場
安全講習会
これはラフト(救命いかだ)を展開して使い方を説明しているところ。
普天間飛行場
宜野湾マリーナからタクシーで10分少々のところにある嘉数(かかじ)高台から見る普天間飛行場。[画像クリックで拡大]
琉球舞踊 沖縄エイサー
琉球舞踊
前夜祭でのアトラクションでは、いったい何人の人が出演したのだろうと思うくらい沖縄の伝統舞踊がいくつも披露された。これはその一例。
エイサー
前夜祭のフィナーレ、青年団による「エイサー」。雨の中の熱演で、観る方も根性が必要。[画像クリックで拡大]
前夜祭のもようはこちら




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