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マスターズワールド2009


報告: 木村 治愛

貼りFAX :
ニューヨークから北へ向かってカナダ国境を越え、大西洋岸に沿って北東へ進むと、WSWからENEへ伸びる細長い島のようなノバスコシア州に達する。その三分の一ぐらいのところに Halifax という港町があり、その郊外のセント・マーガレット・ヨットクラブが今回のレース会場であった。Halifax は飛行機でNYから3時間、トロントから2時間。
日本からの参加者は8名、そのメンバーやレース結果は、日本レーザークラス協会公式ウエッブサイトをご覧ください。

8月27日受付、チャーターボート引き渡し          
8月28・29日受付、計測、チャーターボート引き渡し
8月30日~9月1日     レース (1日2レース)
9月2日休息日
9月3~5日レース、5日午後8時から表彰式及びビュッフェパーティー

これで夏か :
毎日だいたい8メートル前後の風が吹いた。冷たい、寒いと聞いていたがこれほどとは!!
シブキが冷たい、グラブの手が凍えそう、夏バテ気味の日本人にはきつかったなあ。
結局レース日6日で9レースをやった(スタンダードの一部は10レース成立)。最終日は無風ノーレース、ヨットの大会は不思議にこういうことが多いなあ。

001 :
ヨットクラブはビーチから斜度15度ぐらいの斜面の中腹にある。レーザーは斜面にへばりつくように置いてあり、上のほうの置き場の人は毎日トロリーを引っ張って登山だ。
チャーターボートを受け取りに行くと大騒ぎになった。“君のボート番号は001だ!  置き場は一番下のビーチサイドだ!” と歓声が上がった。高齢者順に番号がふられビーチサイドから順に並べられていた。気が利いている。付近の顔触れはみな70歳以上の永年の好敵手、ついこのあいだも会ったような気分になる。

河童のヌード?? :
エア・カナダはあまりクオリティーの高い航空会社と思えない。座席は狭いし、サービスが相当雑だ。それでも成田~トロント間12時間のフライトに三回給食があるから人道的には問題なかった。
2食目の “ハーフランチ” はサンドイッチと果物のスライスとパンだったが、それを食べ終わったところで “河童ヌード” と言ってテーブルにドカンと置かれたものを見て驚いた。日清のカップ麺、つまりカップヌードルのことだ。あの取り合わせは理解に苦しむ? そして三回の給食は往きと帰り寸分違わなかった。

アコモデーション :
西野君(フリートキャプテン)はヨットクラブから程近いB&B (ベッド・アンド・ブレックファスト)に泊まり、レンタカーを契約して機動的に動いていた。大会が終わった後も車でノバスコシア州放浪の旅に出た。
私たちは、大会が用意した貼りFAX市内の Atlantica Hotel に泊まった。つい3か月前まで Holiday Inn と言っていた四つ星ホテルだ。ヨットクラブまでシャトルバスで30分。ホテルでは我々のために無料で簡単な朝食ビュッフェが用意された。街の中だから夕食に出かけるのには便利だった。この街は総じて料理がおいしくない。ギリシャ料理と中華料理とサンドイッチとハンバーガーは合格。

飯島洋一コーチ :
シニア・ワールド日本チームの飯島コーチが、マスターズのレース前日まで残ってくれた。
佐々木強化委員長の配慮によるもので、ワールドとワールド・マスターズは多分に参加目的が異なるけれども、シニアの選手活動の未来が生涯スポーツとしてのマスターズの活躍につながっているという認識に基づいている。
飯島コーチからは、レース海面の状況(潮流、風向、風の振れの傾向など)についての情報を得、チャーターボートのチェック、海上ではセールトリム、ギアチェンジ、風が振れた時の戦術などの指導を受けた。海外遠征した時、大会会場の状況に馴染むことが最初の大仕事だが、飯島コーチのお陰でスムーズに入っていくことができた。今後ともこういう関係を続けていければいいと思う。


大会サイト





報告: 西野 隆文

カナダのマスターズワールドに行ってきました。場所は東海岸のノバスコシア。わたしにとっては初めてのカナダ滞在でした。

ノバスコシア(Nova Scotia)
ラテン語でニュー・スコットランドの意。スコットランドから渡って来た人が多いこと、地形がスコットランドに似ていることからこのように呼ばれ、すぐ南のニュー・イングランド(アメリカのメーン州、ニューハンプシャー州、マサチューセッツ州あたり)と対をなす。
人の由来は、スコットランドからとフランスからの2通りあったようだが、今は世代が変わってカナダ国内やアメリカから移ってくる人も多いという。フランス系の地名や、道路標識にゲール語の地名が併記されているところがあるのはかつての名残。
地形はスコットランドに似ているといえば似ているが、ノバスコシアは植生が豊かで気候もよく、スコットランドに比べると荒涼感に欠ける。空気が澄んでいるためか、晴れると太陽の光線がきつい。

ライトハウス・ルート(Lighthouse Route)
ノバスコシアの南東岸に沿って走る道路。風光明媚な景色が続き、ルートそのものが観光名所。フィヨルドほどの規模はないが、氷河によって削られたコーブ(cove)と呼ばれる小さい入江がたくさんあり、湖に囲まれているような景観をつくっている。

セント・マーガレット湾(St. Margaret's Bay)
今回のレース会場。ライトハウス・ルートに含まれる。緯度は北緯約44度で、北海道の旭川あたり。
北磁極が近いためか、真方位と磁方位のずれが大きい。セント・マーガレット湾では、コンパスの21度の方向が真の北。(大阪湾では7度の方向が真の北)

ハート・オブ・ゴールド
ノバスコシアに着いた次の日の朝、初めて会場に行く途中でカー・ラジオから流れてきたのがニール・ヤングのこの歌。肌寒い朝の空気、木立とコーブに囲まれた道、そういった雰囲気にぴったりと合っているのはニール・ヤングがカナダ出身だからか。

B&B (Bed & Breakfast)
レース期間中もレース後もB&Bに泊まったが、どんな朝食、どんな部屋をどんな料金で提供するのかはオーナーの胸先三寸で、料金とクオリティーは全く比例しない。

インターネット
無線LANは、B&Bや観光案内所、レストランなどあちこちに設置され、日本よりずっと普及しているように思えた。が、しかし...インターネットの接続には苦労した。電波は入るのだがつながらないことが少なくとも4 回はあった。
わかったことは、設置されている無線LANのバージョンが新しすぎて(802.11n)、わたしのPCに付いているバージョン(11b)はサポートしていないらしいということだった。クラブハウスではつながったので、朝の早いうちにヨットクラブへ行き、ネットにつなぐのがレース中の日課になった。もっとも、朝早く行くとクラブハウスに近いところに車を停められるというメリットはあった。



セント・マーガレット・セーリングクラブ セント・マーガレット・セーリングクラブ
セント・マーガレット・セーリングクラブ
今回の会場。桟橋に並んだ参加各国の旗がワールドの雰囲気を盛り上げる。[画像クリックで拡大]

海からの眺め。中央やや右よりの、旗が揚がっている建物がクラブハウス。[画像クリックで拡大]
開会式 セント・マーガレット・セーリングクラブ

開会式。クラブハウス前の斜面をうまく使っている。[画像クリックで拡大]

クラブハウスのベランダ。ハーバーを一望できる。開会式の時はこのベランダから主催者や来賓がスピーチをする。つまり、左の写真の人たちが見上げているのは、このベランダ。
クラブハウスはフレンチ・ビレッジ・ハーバーという小さい入江に面し、この入江を写真の右の方向に進むと、セント・マーガレット湾に出る。そこがレース海面。[画像クリックで拡大]
セント・マーガレット・セーリングクラブ セント・マーガレット・セーリングクラブ

クラブハウスの内部。右手奥にバーのカウンターが... [画像クリックで拡大]

クラブハウス前の斜面。写真ではなだらかに見えるが実際はかなり急で、レーザーを引っ張り上げるのは一苦労。船の置き場所は年長者ほど浜に近く、アプレンティスはクラブハウスよりもさらに上の斜面。[画像クリックで拡大]
ノバスコシアの旗 入港フラッグ

クラブハウスのポールに掲げられた旗。右の旗がノバスコシアの旗で、スコットランドの旗(白地に青の×印)の中央にライオンの紋章。上の三角の旗はクラブの旗。ここにもスコットランドの旗が。[画像クリックで拡大]
レーザー・ワールド・チャンピオンシップ・ラジオ
スポンサーのノーテル※(放送局用のFM送信機をつくっている)が会期中運用していたミニFM局。時折レース結果や選手のインタビューを流し、あとは音楽。
ノーテル・ネットワークスとは別。社名の綴りも異なる。
リバーソングB&B ヘッド・オブ・セント・マーガレット・ベイ
シーブライト(Seabright)
同じ日本チームのY河内さんが泊まっていたB&Bのプライベート・ワーフ。お気に入りの場所その1。
写真の左側から川が流れ込み、早朝には入江との温度差によって “もや” が出て、幻想的な眺めとなる。[画像クリックで拡大]
ヘッド・オブ・セント・マーガレット・ベイ
(Head of St Margarets Bay)
わたしが泊まっていたB&Bと会場の間の風景。セント・マーガレット湾沿いにはこのような入江がいくつもあり、車で片道30分弱かかるハーバー通いも気持ちのよいものだった。[画像クリックで拡大]
海雲台ヨット競技場 リバー・ブルジョア
ロックポート(Lockeport)
静かな港町。セント・マーガレット湾からはだいぶ離れているが、ここもライトハウス・ルートに含まれる。お気に入りの場所その2。
ここのB&Bで出迎えてくれたのは耳の遠いおばあさん。その日の客はわたしだけ。このおばあさんは、もとはアメリカに住んでいたが、この場所が気に入り、25年前からここで暮らしているという。「このままここで死にたい」としみじみ語った。[画像クリックで拡大]
リバー・ブルジョア(River Bourgeois)
ノバスコシア北東部のケープ・ブレトン(Cape Breton)にある、人口700人の集落。お気に入りの場所その3。
写真はわたしが泊まったB&Bの庭にある、前後にスライドするブランコ。ブランコを動かしながら前の入江を眺めるのがB&Bのおばちゃんのお勧め。
ここでは、隣どおしで水辺を分け合うため、土地を短冊状に区切っている。土地の間口は数十mしかないが、奥行きは2kmあるという。隣との境界は一応あるが、はみ出しても誰も気にしない。
はるか向こうまで続く裏庭にはB&Bのおっちゃん手作りの鱒池がある。特に朝は静かで、鳥の鳴き声が聞こえるだけ。おっちゃん曰く、「これがノバスコシアだ。」 [画像クリックで拡大]
おまけ エンジン
オマケ
ロックポートで見かけた船。写真を撮っていると、持ち主だ、と名乗るおっちゃんが現れ、船に乗せてくれた。[画像クリックで拡大]

左の写真の船の、不思議なエンジン。ギアはなく、後進するときはエンジンそのものを逆転させる。エンジンの正転/逆転は、左の壁の内側にある電気的なスイッチで切り換えられる。燃料の種類を聞いてみたが、言葉が通じず、返ってきた答えは「5馬力や」だった。




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